奥歯がないと太りやすい!?お口と全身の健康の深い関係
大阪市淀川区 よしや歯科三国駅前診療所 歯科医師 院長 葭矢啓介
「最近噛みにくい」「奥歯がなくなってから食事が偏っている気がする」──そんなお悩みはありませんか?
実は、奥歯を失ったままの状態は、単に食べづらいだけではなく、肥満や栄養不足、さらには全身の健康リスクにまで影響を及ぼす可能性があるのです。
今回は、「奥歯と太りやすさ」「栄養の偏り」「サルコペニア(筋肉減少症)」といった観点から、お口の健康と全身の健康の関係についてわかりやすく解説いたします。
奥歯がないと食生活はどう変わる?

奥歯は、食べ物をしっかり噛み砕くために欠かせない歯です。しかし、虫歯や歯周病などで失ってしまうと、「硬い食べ物は食べにくい」「飲み込みやすいものを選ぶ」ようになりがちです。
その結果、うどんやラーメン、おかゆなど、柔らかくて噛まずに食べられる炭水化物中心の食事に偏ってしまいます。これらは糖質が多く、血糖値を急上昇させやすいため、肥満や生活習慣病のリスクが高まるのです。
また、柔らかい食事はたしかに食べやすいのですが、肉や魚、野菜などに豊富に含まれるタンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維が不足しがちになります。そのため、ただ太りやすくなるだけでなく、体の老化や免疫力の低下を招く恐れもあるのです。
栄養バランスの乱れと肥満リスク
健康な体を維持するために必要なタンパク質の量は、1つの目安として「適正体重(身長×身長×22)×1g」。
たとえば適正体重が50kgの人なら、1日50gのタンパク質を摂る必要があります。
この量を満たすには、肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などをバランスよく食べる必要があります。
しかし奥歯がないと、ステーキや魚の切り身、硬めの野菜などを避けてしまうため、必要な栄養素が不足しやすくなるのです。
その代わりに手軽に食べやすい麺類や丼ものを中心にすると、糖質過多でカロリーオーバー。つまり、太りやすいのに栄養不足というアンバランスな食生活になってしまいます。
噛めないことと「サルコペニア」の関係
最近よく耳にする「サルコペニア」という言葉をご存知でしょうか?
これは加齢によって筋肉量や筋力が減少することを指し、歩行困難や転倒、要介護の大きな原因になるといわれています。
奥歯がなくて噛めない状態は、このサルコペニアのリスクを高めます。なぜなら、タンパク質やビタミン・ミネラルを十分に摂れなくなるからです。
たとえば、筋肉を維持するためには肉や魚からのタンパク質だけでなく、それを効率的に利用するための野菜に含まれるビタミン・ミネラルが必要です。しかし、噛めないと野菜を敬遠しがちになり、筋肉をつくる材料もサポートする栄養も不足してしまいます。
つまり「奥歯がない」=「食べられるものが限られる」=「筋肉が減る」=「サルコペニアが進む」という悪循環につながるのです。
奥歯を失った方に起こりやすい症状
奥歯を失ったまま放置すると、次のような症状や生活の変化が出やすくなります。
- よく噛めないため、柔らかい食品ばかり食べる
- 炭水化物中心になり、肥満や糖尿病リスクが高まる
- タンパク質不足で筋肉が減少する
- ビタミン・ミネラル不足で免疫力や代謝が落ちる
- 噛む回数が減り、認知症リスクが高まる
お口の問題が、実は全身の健康や老化スピードに直結することがわかります。
よく噛めるお口を取り戻すことが大切
「食べにくいから仕方ない」と思って放置するのではなく、歯科治療で奥歯を補うことがとても重要です。
治療の方法には、
- 入れ歯(義歯)
- ブリッジ
- インプラント
などがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。ライフスタイルやお口の状態に合わせて適切な方法を選ぶことで、再び肉や野菜をしっかり噛めるようになり、栄養バランスの良い食生活を取り戻すことができます。
まとめ|奥歯の健康は体の健康に直結します
奥歯がないままの状態は、
- 太りやすい食生活に偏る
- 栄養不足で筋肉が減る
- サルコペニアや生活習慣病のリスクを高める
といった深刻な影響をもたらすことがあります。
よく噛めるお口を保つことは、単に食事を楽しむためだけでなく、健康寿命を延ばすために欠かせないポイントです。
「奥歯がなくて食べにくい」「最近やわらかいものばかり食べている」という方は、ぜひ歯科医院でご相談ください。適切な治療で噛む力を取り戻し、バランスの取れた食事と健康的な体を守っていきましょう。

