口腔ケアでインフルエンザ予防!?お口を清潔にすることが健康の第一歩
大阪市淀川区 よしや歯科・矯正歯科三国駅前診療所 歯科医師 院長 葭矢啓介
毎年11月から3月にかけて流行するインフルエンザ。38℃以上の発熱や強い頭痛、全身のだるさなど、かかると非常につらい症状が出る病気です。特にお子さまや高齢者、また持病のある方にとっては重症化のリスクも高く、命に関わるケースもあります。
ところで、インフルエンザと「お口の中の環境」が深く関係していることをご存じでしょうか?
実は、毎日の口腔ケアによってインフルエンザの発症リスクを下げられることが、研究によって明らかになってきています。今回はその仕組みと予防のポイントをわかりやすく解説します。
インフルエンザ予防といえば?

インフルエンザを防ぐ方法としてよく知られているのは、
- 手洗いうがい
- マスクの着用
- インフルエンザワクチンの接種
といった基本的な対策です。これらはいずれも大切ですが、近年注目されているのが「口腔ケアによる予防効果」です。
ある研究では、お口を清潔に保つことでインフルエンザの発症率が約10分の1に減ったという結果も報告されています。
なぜお口の中が関係するの?
インフルエンザウイルスは、鼻やのどの粘膜に付着して細胞の中に入り込み、増えることで発症します。そのとき、ウイルスが体内に侵入する手助けをするのが「プロテアーゼ」という酵素です。
実はこのプロテアーゼ、もともと喉や気道の粘膜に存在しているのですが、歯周病菌などお口の細菌も同じ酵素を出してしまうのです。
つまり、お口の中に細菌が多いとプロテアーゼが増え、ウイルスが侵入しやすくなる → インフルエンザにかかりやすい、という流れが生まれてしまいます。
ワクチンだけでは不十分?
「私はワクチンを打っているから安心」と思う方もいらっしゃいますが、実際にはワクチンだけで完全に防ぐことはできません。
研究によると、
- 高齢者施設に入所している65歳以上では、発病阻止効果34~55%、死亡阻止効果82%
- 6歳未満の小児では、あるシーズンの調査で発病防止効果60%
- 成人に1回接種した場合は約50%の有効率
と報告されています。
数字だけを見ると「意外と低い」と思われるかもしれませんが、これはワクチンがウイルスの侵入自体を防ぐものではなく、侵入後に素早く働いて重症化を防ぐものだからです。
したがって、最も効果的なのは「口腔ケアでウイルスが入り込む数を減らし、さらにワクチンで重症化を防ぐ」という二重の対策です。
インフルエンザと口腔乾燥の関係
インフルエンザにかかっているときは、お口の中が乾燥しやすくなります。乾燥すると細菌が増えやすくなり、さらに感染を悪化させる可能性があります。
そのため、普段から定期的に口腔ケアを行い、細菌を減らして清潔な状態を保つことがとても大切です。お口の環境を整えることは、インフルエンザにかかってからだけでなく、「かからないための予防」にも直結します。
口腔ケアで得られるメリット
インフルエンザ予防だけでなく、口腔ケアにはさまざまな健康効果があります。
- 歯周病やむし歯の予防
- 口臭の改善
- 免疫力の向上
- 認知症予防への可能性
- 全身の健康維持
つまり、口腔ケアは「歯を守るため」だけではなく、体全体の健康を守るための習慣なのです。
まとめ|インフルエンザ予防はお口から
インフルエンザは決して油断できない病気ですが、日常の習慣でリスクを下げることが可能です。
- 手洗い・うがい・マスク
- ワクチン接種
- そして 毎日の口腔ケア
この3つを組み合わせることで、インフルエンザに「かかりにくい」「重症化しにくい」体をつくることができます。
「最近お口の中が乾燥する」「歯磨きが自己流で不安」「歯周病が気になる」という方は、ぜひ歯科医院でご相談ください。専門的なケアを受けることで、インフルエンザだけでなく全身の健康づくりにもつながります。

