インプラントのメンテナンスも忘れずに!

抜けてしまった歯の代わりに入れたインプラント。

「インプラントを入れたからもう一生大丈夫」と思っている方もいるかもしれませんが、インプラントも天然の歯と同じように、メンテナンスをしなければぐらぐらしてきて抜けてしまうこともあるのです。

せっかく高い費用をかけて入れたインプラントも、抜けてしまっては非常にもったいない。しっかりとした知識をもとにメンテナンスをして、インプラントも長持ちさせましょう。

 

一度しっかりと安定したインプラントに問題が起こる原因は、大きく分けて歯周病によるものとかみ合わせによるものがあります。

 インプラントは人工物なので、むし歯菌によって溶かされてしまうことはありませんが、歯周病にはなってしまいます。これは、歯周病菌のターゲットが歯茎や骨などのインプラントの周りの組織だからです。歯周病菌がインプラントにくっつき、歯茎を腫れさせたり、骨を溶かしたりしている状態を「インプラント周囲炎」といいます。歯茎が腫れると、インプラントとの隙間から膿が出ますし、インプラントの周りの骨が少なくなると、インプラントがぐらぐら動き、最後には抜けてしまいます。

 また、インプラントは、天然の歯に比べて歯周病になりやすい、というのも重要な事実です。天然の歯では、歯茎の繊維が歯と密接に絡み合い、細菌の侵入を防ぐネットのような役割を果たしていますが、インプラントにはそれがありません。天然の歯であれば、歯茎の腫れだけで済む程度の炎症でも、インプラントではすぐに骨までダメージが及んでしまうのです。

 

 また、かみ合わせもインプラントのトラブルの原因となります。

インプラントへ過剰な力がかかると、インプラントの人工歯が割れたり、インプラントが抜けたり、折れたりしてしまうことがあります。過剰な力というのは、グッと一時的に強く噛む力というよりも、歯ぎしりや食いしばりのような、無意識に生じる継続的な強い力のことです。これも、天然の歯にも起こるトラブルですが、インプラントではより起こりやすくなっています。それは、天然の歯は歯と骨の間に、歯根膜と呼ばれる厚さ0.5mm以下の薄い靭帯のような組織がありますが、インプラントは骨とインプラントが直接くっついているためです。歯根膜は噛んだときの力を吸収・分散させたり、噛んだときの力を感知したりして、無意識のうちに噛む力を調節する働きがあるのです。インプラントには歯根膜が存在しないため、過剰な力がかかりやすく、結果として、かみ合わせによるトラブルが起こりやすくなっています。

 

このように、インプラントは汚れや噛む力に対して、天然の歯よりも敏感に反応します。なので、痛みや違和感がなくても、その兆候を早い段階で発見するために、定期健診が必要になりますし、もしインプラントの周りに汚れがついている場合は、専門のクリーニングも必要となります。国民生活センターによるアンケート調査では、インプラント治療をした後、4割弱の人がメンテナンスを受けていないという結果が出ています。違和感が出てから歯医者を受診しても、症状がかなり進行しているケースも多いです。ぜひインプラント治療を受けた後も、しっかりとしたメンテナンスを継続し、健康お口を保ってもらいたいと思います。