親知らず抜いたほうがいいですか?
大阪市淀川区 よしや歯科三国駅前診療所 歯科医師 院長 葭矢啓介
こんにちは!よしや歯科です。
「親知らず抜いたほうがいいですよ」と言われたことがあるけど、そのまま放置している方いらっしゃいませんか?
奥の方のはぐきがうずく感じがする、今はなんともないけど昔そういう症状があった方、いらっしゃいませんか?
「親知らず」というフレーズはよく耳にすると思いますが、実際にどのような影響があるのか、いたくなったらどうするべきなのか、皆さんが疑問に思うことについてお話させていただきます。
まず、上述の質問の回答は、「そういった親知らずは、抜くことをお勧めします。」ということです。
親知らずとは、上下左右の一番奥の歯(一般的には前から8番目の歯)のことで、第三大臼歯と呼ばれる歯のことです。他の歯はおよそ12~13歳ごろまでにはえてきますが、親知らずは早くとも17歳ごろから21歳ごろにはえてきます。親がその歯の存在を知らない(その頃には口の中を見ない)ことから、「親知らず」と呼ばれています。
現代人は親知らずがまっすぐ生えにくい!?

現代の人は昔に比べてあごの大きさが小さくなっており、親知らずがはえてくる場所がないために傾いてはえてきたり、はえてこなかったり、部分的に歯茎に埋まっていたりします。また中には元から親知らずが存在しない、という方がいます。
親知らずがまっすぐはえるスペースがある方は全く問題ありませんが、斜めになっていたり、少しだけはえていたりといった状況は、問題となることがあります。
親知らずが存在するのは口の中のかなり奥の方で、非常に歯磨きがしづらく、汚れが溜まりやすいのです。さらに、はえ方によっては、そもそも器具が入らないという場合もあります。
そのような汚れが残った状態が続いていると、親知らずやその隣の歯が虫歯になったり、周りのはぐきが腫れて(炎症をおこして)、うずいたりします。さらに、はぐきの炎症が強くなると、のどや舌の下、周りの筋肉にまで炎症が起きてしまい、顔がパンパンに腫れたり、口が開かなくなったり、痛くてものを飲み込めなくなってしまいます。最悪の場合には、気道が閉塞したり、口の中の菌が全身に回って敗血症になってしまうこともあるのです。
ちょっとうずくだけだから、と放置している親しらずは、このような大変な症状を起こす前に抜いた方が良いでしょう。
親知らずを抜くと、痛みや腫れが起こることがあります。それは、悪さをする親知らずが、骨の中に深く埋まっており、抜くにはまずはぐきを切り、骨を削って歯の頭を出さねばならないからです。抜歯というより、小手術を受ける、という言い方のほうが実際の処置に近いかもしれません。
また、非常に強い腫れや痛み(炎症)が生じている状態では抜歯を控えることがあります。これは、炎症によって生じる酸が麻酔薬の効果を打ち消してしまうため、麻酔が効きにくくなってしまうからです。強い炎症のあるなかで抜歯をすると、治りが遅く、二次的な感染症を起こしやすく、また、痛みや腫れがひどくなってしまうこともあります。そこで、そのような場合は、いったん抗菌薬で炎症を抑えてから抜歯をします。
ひどい腫れがでているから早く抜いてほしいと思う方もおられるかと思いますが、むしろそういったときの抜歯は避けなければなりません。それだけに、悪化してしまう前に抜いていただければと思います。
親知らずの抜歯は多くの方が不安に思われる治療だとは思いますが、適切なケアと対策を取ることで最小限の痛みに抑えることができます。
親知らずも、まっすぐはえており、しっかりと機能している歯であれば抜く必要はありません。自分の親知らずを抜いたほうが良いか、一度当院にお越しいただきご相談下さい!