歯石をとってから歯がしみる…これ大丈夫なんですか?
歯科検診などで「歯石がついているので、とったほうがいいですね」と言われ、クリーニングをした後に、それまでなんともなかった歯がしみるようになった経験をされた方はいらっしゃいませんか?
クリーニングのやり方がまずかったからしみるようになってしまったのではないか?と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
歯石を取った後に知覚過敏になってしまうことはあるのでしょうか?実はこれは歯石取り自体が原因ではありません。

まず、歯がしみるのはなぜか?というところから解説しましょう。
しみる痛みを感じるということは、つまり、歯の神経に外部からの刺激が加わることです。
歯は、3つの部分からできており、内側から、歯の神経、象牙質、エナメル質というものが存在します。一番外側のエナメル質という部分は、人体の中で最も硬く、外部の刺激から歯の内側を守る働きをしています。しかし、歯の神経とエナメル質の間に存在する象牙質には、細い管が通っており、ここに刺激が加わると、歯の神経に刺激が伝わってしまい、しみる痛みが生じるのです。
具体的には、
①エナメル質が何らかの原因で壊れてしまい、内側の象牙質が露出してしまった(例:虫歯、歯が割れたなど)
②歯周病などで歯茎が下がり、通常歯茎で覆われている歯の根っこの部分(ここにはエナメル質が存在しない)が見えてしまった
ということが原因で歯がしみるようになるのです。
クリーニング後にしみる痛みが生じるのは、ほとんどの場合②で、歯のねっこの部分に付着した歯石を除去した際に、歯の根っこの部分が露出してしまうからです。
とった後にしみるのなら、歯石は取りたくない、と思う方もいるかもしれません。
しかし、歯石がついたままにしていると、もっと大変なことになります。歯石には、おびただしい数の歯周病菌が付着しており、これが歯周病を進行させてしまうのです。すると、さらに歯茎が下がってしみる症状が悪化したり、歯がぐらぐらしてきて最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
それに、歯石を取った後、しみる症状がある程度改善する場合もあります。口の中にある唾液には「再石灰化」という作用があり、歯についた汚れをしっかりととれば、象牙質の管が塞がってきて徐々にしみる症状が改善することもあります。また、知覚過敏用の歯磨き粉や、しみ止めの塗り薬などもあるので、歯についた歯石はしっかりときれいにした後に、知覚過敏に対する処置をしてもらうとよいかと思います。