歯石をとってから歯がしみる…これ大丈夫なんですか?

大阪市淀川区 よしや歯科三国駅前診療所 歯科医師 院長 葭矢啓介

 

こんにちは!よしや歯科です。歯科検診などで「歯石がついているので、とったほうがいいですね」と言われ、クリーニングをした後に、それまでなんともなかった歯がしみるようになった経験をされた方はいらっしゃいませんか?クリーニングのやり方がまずかったからしみるようになってしまったのではないか?と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。

歯石を取った後に知覚過敏になってしまうことはあるのでしょうか?実はこれは歯石取り自体が原因ではありません。

今日は歯石取り後のしみる原因についてのお話をさせていただきます。

まず、歯がしみるのはなぜか?というところから解説しましょう。

しみる痛みを感じるということは、つまり、歯の神経に外部からの刺激が加わることです。

歯は、3つの部分からできており、内側から、歯の神経、象牙質、エナメル質というものが存在します。一番外側のエナメル質という部分は、人体の中で最も硬く、外部の刺激から歯の内側を守る働きをしています。そして、歯の神経とエナメル質の間に存在する象牙質には、細い管が通っており、ここに刺激が加わると、細い管を通して歯の神経に刺激が伝わってしまい、しみる痛みが生じるのです。

具体的には、

①エナメル質が何らかの原因で壊れてしまい、内側の象牙質が露出してしまった(例:虫歯、歯が割れたなど)

②歯周病などで歯茎が下がり、通常歯ぐきで覆われている歯の根っこの部分(ここにはエナメル質が存在しない)が見えてしまった

ということが原因で歯がしみるようになるのです。

 

クリーニング後にしみる痛みが生じるのは、ほとんどの場合で、歯のねっこの部分に付着した歯石を除去した際に、歯の根っこの部分が露出してし、外部からの刺激が歯の神経に伝わりやすくなるからです。

 

しみる症状は一時的なことが多く、数日から数週間で自然と治まることが一般的です。それは口の中にある唾液には「再石灰化」という作用があり、歯についた汚れをしっかりととれば、象牙質の中にある細い管が塞がってきて徐々にしみる症状が改善するのです。それでも歯石をとった後にしみるのなら、歯石は取りたくない、と思う方もいるかもしれません。

しかし、歯石がついたままにしていると、もっと大変なことになります。いくつかの健康問題を引き起こす可能性があります。歯石には、おびただしい数の歯周病菌が付着しており、これが歯周病を進行させてしまうのです。歯ぐきの炎症を引き起こすので、さらに歯ぐきが下がってしみる症状が悪化したり、歯ぐきとともに歯を支える骨も破壊され減ってくるので歯がぐらぐらしてきて、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。

また、歯石があると歯磨きが十分にできないため、歯垢をうまく取り除くことが難しくなり、虫歯のリスクが高まります。

他にも、歯石に付着した細菌により口臭も発生しやすくなります。このように歯石を放置することにはさまざまなリスクが伴うため、歯石は取ることをお勧めします。

 

しみる症状を和らげる方法としては、知覚過敏用の歯磨き粉を使用する、柔らかいハブラシを使う、ぬるま湯で口をすすぐなどがあります。また、しみ止めの塗り薬などもあるので、歯についた歯石はしっかりときれいにした後に、知覚過敏に対する処置をしてもらうとよいかと思います。

当院では、歯のしみが気になる方にはしみ止めの塗り薬を塗らせていただいています。

歯石は歯垢が硬化して歯に付着するものなので、歯ブラシでは取り除けず、歯科医院での専門的なクリーニングが必要となります。

いつも定期健診に来られている方は、ぜひ知っておいてください。

定期健診をされていない方はこれを機会にぜひ一度歯石取りをしてみませんか?