最新むし歯予防法-part2:フッ素を使ってむし歯予防
前回、フッ素を使うことがむし歯予防に最も効果的であるとお伝えしました。今回は、具体的にどのようにフッ素を使えばよいのかという点をお伝えしようと思います。
まず、個人で行うことができるフッ素を使うむし歯予防法としては、
①フッ素入りの歯磨き粉を使う
②フッ素入りの洗口剤でうがいをする
③歯科医院でフッ素を塗る、といったものが挙げられます。
それぞれについて説明していきます。
①フッ素入りの歯磨き粉を使う
現在販売されている歯磨き粉の多くにはフッ素が配合されています。歯みがき粉に含まれたフッ素は、歯みがき終了後に歯、磨き残しの汚れ、歯茎や頬の粘膜の表面、唾液の中に保持され、再石灰化と酸産生抑制効果によってむし歯予防効果を発揮します。
フッ素入り歯磨き粉によるむし歯予防効果を高めるためには、次のような使い方をしてもらうことが良いとされています。(“フッ化物配合歯磨剤に関する日本口腔衛生学会の考え方”より)
- 歯ブラシに年齢に応じた量の歯磨き粉をつける(後にまとめた表を載せます)
- 磨く前に歯みがき粉を口の中全体に広げる
- 2~3分間歯磨き粉による泡立ちを保つような歯みがきをする(特に磨き方にはこだわらない)
- 歯みがき粉を吐き出す
- 10~15mlの水を口に含む
- 5秒間ほどブクブクうがいをする
- うがいは1回のみとし、吐き出した後はうがいをしない
- その後1~2時間は飲食をしないことが望ましい
※1日2~3回 フッ素入り歯磨き粉を使った歯みがきをすることが望ましい
年齢別の歯磨き粉使用量まとめ
年齢 |
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使用量 |
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歯みがき粉の フッ素濃度
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注意事項 |
6ヶ月 (歯のはえ始め)~2歳 |
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切った爪程度 の少量 |
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500ppm (泡状の歯みがき粉で あれば1000ppm) |
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仕上げ磨きの時に保護者が行う |
3歳~5歳 |
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5mm程度 |
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500ppm (泡状またはMFP歯磨剤で あれば1000ppm) |
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寝る前が効果的 歯みがきの後5~10mlの水で1回だけうがいする |
6歳~14歳 |
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1cm程度 |
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1000ppm |
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寝る前が効果的 歯みがきの後5~10mlの水で1回だけうがいする |
15歳以上 |
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2cm程度 |
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1000~1500ppm |
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寝る前が効果的 歯みがきの後5~10mlの水で1回だけうがいする |
②フッ素入りの洗口剤でうがいをする
低濃度のフッ化ナトリウム水溶液でうがいを行う方法で、保育所や学校などで集団応用されることが一般的です。各家庭で実施可能な洗口剤も市販されているので、個人で実施することも可能です。ブクブクうがいができるようになる4歳から開始します。
うがいのやり方は、「毎日法」と「週1回法」があります。低いフッ素濃度の洗口剤(225ppm)で毎日1回うがいをする毎日法と、高めのフッ素濃度の洗口剤(900ppm)で週1回うがいをする週1回法です。これらはどちらでもむし歯予防効果に大きな差はないとされています。学校などでは週1回法が行われることが一般的ですが、家庭では就寝前の歯みがき後に「毎日法」でうがいをすることが望ましいでしょう。
③歯科医院でフッ素を塗る
歯科医院で高濃度のフッ化物を塗布する方法です。フッ化物は、ゼリー状のものや液状、泡状のものがあり、当院ではゼリー状のものを使用しています。
使用する薬剤のフッ素濃度は9000ppmと、歯みがき粉などと比べて非常に高濃度です。そのため、使用する量や頻度が厳密に決められているため、歯科医院でしか取り扱いができないのです。
通常、フッ素を塗るのは年に2~6回ですが、各々のむし歯になりやすさ等を考慮してフッ素を塗る頻度が決定されます。
このように、フッ素を応用することがむし歯を予防することに繋がります。
ご不明な点はお気軽に当院にお尋ね下さい。