最新むし歯予防法!
ご存知でしょうか、2016年のデータ(厚生労働省、平成28年歯科疾患実態調査)によると、35歳以上でむし歯になったことがないという人の割合はほぼ0%です。ほとんどの人がむし歯を経験しているというのは、大変なことだと思いませんか?
今までまったく風邪をひいたことがない、という人もほとんどいないかと思いますが、風邪は自分の身体の免疫力によって治ります。むし歯も同様に、歯を削った後に人工の材料を詰める治療をして、「治る」という表現を使いますが、実際には、むし歯が完全に治るということはありません。
というのも、どんな病気においても、病気の治療は原因を取り除くことであり、開いた穴を材料で詰めることは、根本的な原因を取り除くことにはなりませんし、なくなってしまった歯が再生するということはないからです。むし歯の原因は口の中にいるむし歯菌です。むし歯菌は口腔常在菌(口のなかに常に存在する菌)であり、口の中から完全に追い出すことはできません。つまり、むし歯治療とは、むし歯ができる環境にならないように口の中を管理することなのです。管理が不十分であれば、むし歯が起こります。つまり、むし歯は完治するものではなく、歯がある限り、生涯管理(=治療=予防)が必要なのです。そして、最初にお示ししたデータから、むし歯を長期に管理するということは非常に難しいということがわかります。
では、どのように管理すればよいのでしょうか。現在、科学的根拠に基づくもので、最も虫歯予防効果が高いと評価を受けているものは、フッ化物応用です。以降、シーラント、チューインガム等による唾液促進、食生活改善、抗菌薬という順番になっています。つまり、むし歯予防には、フッ素をうまく使うことが1番効果的なのです。
むし歯菌がむし歯の原因であり、それを取り除くことは非常に重要です。しかし、実際にはブラッシングだけでは歯についているむし歯菌を完全に除去することはできず、むし歯は除去できない部位から発生してくるのです。なので、フッ素をうまく使い、歯ブラシが届かないところへのむし歯予防効果を期待するのです。
ただし、フッ素を塗っておけばむし歯にならないということではありません。歯にむし歯菌がべっとりとついたままでは、フッ素が歯に作用することができませんし、口の中に常に砂糖がただよっていれば、いくらフッ素で歯を強くしてもむし歯菌が出す酸の量には勝てません。フッ素を使う上で、まずは正しく歯磨きするということが大前提であることは忘れないようにしてください。
また、歯みがきのときにフッ素入りの歯磨き粉を「必要十分な量」使うことは大事なことですが、フッ素は摂取しすぎると身体に良くありませんので、用法・用量はきちんと守って使用して下さい。具体的なフッ素の応用法については、また次回とさせて頂きます。